2006年06月25日

大河ドラマ 功名が辻 第二十回〜第二十四回

二十回〜二十四回
光秀が討ち取られ、その後の跡目争いを秀吉が抜け出すまで、官兵衛の投獄から五話が過ぎている。濃姫は夫と骨をうずめる道を決め、本能寺に自らの秘密を封印する。市と共に信長を支え続けた長い年月が、瞬間止まるように亡くなっていった。自らの意志で、決然と定めを守り抜いた女性の清らかにして壮絶な最期だった。
一豊は、光秀に心のおおもとの所で分かち合うものがあり、光秀の死には内なるかなしみを宿したことだろう。たとえ謀反と言われようと、天下の公理としてそれを起こせる強さにはむしろ敬服さえしていたのだ。光り輝く信長と同様にして、光秀は我が身の糧から逃げることができない一豊の心に足跡を残したことになる。































男達は武器で戦い、女達も強い情念と豊かな才知で生き延びる。開運の馬で評判を買った千代。事の本質を掴むことで人を動かし、皮肉にも戦争に耐える美徳として後世に語り継がれることになった。今に生きる人間の生き様に対し、安逸な美徳に対する警鐘を備えた逸話だ。
さて、これからやってくる物語は一豊にとって、天命の香りから潜在する野望のせめぎ合いに形を変えて行く。閉じゆく光秀の瞳に映った光の傾斜に、千代達の幸せを守っていくことが何よりも大事なのだと一豊は悟ったことだろう。
秀吉の次には家康が控えている。数奇な運命を持った人々の悲劇が、一つずつきれいな花を咲かせていく。乱世に流されず、白を白として死ぬまで自分らしく生き抜くことは可能なのだろうか。そんなテーマが隠されている。


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2006年05月20日

大河ドラマ 功名が辻 第十九回 2006年5月13日放送 あらすじ&レビュー

第十九回 天魔信長
「よねはおとなしいしとやかな娘にございます。」と書かれていた千代の手紙を受け取る一豊。ふと、無事長浜に帰れるのかと不安になるのだった。六平太は、「織田家を見限りませぬか。」と毛利側に通じ画策していた事を告げる。自分はもう千百石を知行する身だとその申し出を拒否する一豊に、「命あっての千百石ではないか。」と言い残して六平太は姿を消す。
































光秀の娘、玉子は信長の命令により細川忠興に嫁ぐことに。「忠興様は幼い頃より存じ上げております。玉はきっと幸せになりまする故。」と、玉子は父の持たせようとした懐刀を返す。玉子の話を聞いた千代はよねを見ながら感慨にふける。
荒木村重が毛利に寝返った。秀吉は村重を説得しに行くことを決意する。「こいつは運を持っておるのだ。」と、秀吉は一豊を連れて摂津有岡城へ。だが、村重はことがおこったからには後には引けぬと、秀吉を認めながらも取り合おうとしなかった。さらに村重は嫁いでいた光秀の娘ともを返し、決死の覚悟で持久戦を構えた。秀吉勢からはとうとう黒田官兵衛が有岡城へ出向くが、着くやいなや消息はとだえてしまう。
「筑前守には官兵衛が必要なのだ。」と半兵衛は虫の息で呟く。程なく千代から見舞いの手紙が来るが、半兵衛はすでに臨終の時を迎えていた。半兵衛は秀吉と一豊の前で、安土殿には天下は取れない、もう少し生きていれば殿と一緒に祝えたものをと悔しがり、最後に「私が生涯好きであった女子は千代殿じゃった。」と言い残して息を引き取る。

レビュー
半兵衛の謎が明らかになり、物語に少しばかり爽やかなメロウさを宿した回である。信長、濃姫、市、村重など、己とは何かを語り、そしてその物差しにすがり生きる人々の姿が描かれている。物語もだんだん佳境に差し掛かってきたが、舘ひろし演ずる信長の持ち味が十分発揮されているのは特筆すべきことだろう。人々の怨念につゆほどの涙も見せない信長のそら恐ろしさが幻影のように冷たく、残りの人々を巻き込んでいくすごみが静かで圧倒的だ。それだけにさらに濃姫の存在が浮き立ち、力ある言葉を吐かせている。そこにある不通の感覚は、なにがなんでも愛を守り抜く千代や一豊と対照的だが、リアリティの背後にある、終わりない超越性への入り口を思わせる。



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2006年05月13日

大河ドラマ 功名が辻 第十八回 2006年5月13日放送 あらすじ&レビュー

第十八回 秀吉謀反
近江に引き上げてきた秀吉を信長は許すことなく、秀吉は長浜で蟄居を命ぜられる。秀吉は気が抜けたようになり、ねねもお先に浄土へと覚悟を決める。だが、半兵衛のある策によって秀吉は窮地を免れる。それは、信長の近くにいる猿楽師達を呼んで猿楽の宴を開き、信長への忠信を高々と宣言することだった。






























宴の席で秀吉は、「このわしは、上様のお草履を抱いていた頃より、片時も我が身の事を思うたことはない。すべて上様の御為、この世に生まれ出たのも息をするのも上様の御為。」と言ってのけ、状況を察したねねも酒をあおる。千代も酒を飲み、踊りを舞う。座は大いに盛り上がり、大成功に終わった。
「もし千代が男に生まれていたら、半兵衛様をしのいでいたかもしれん。」と言う一豊に、「女子でなければだんな様の妻にはなれませぬ。」と千代。
松永弾正の信長への謀反で、運良く秀吉は信長から弾正を討てとの命を得る。よねと手を合わせて一豊の無事を祈る千代だった。
信貴山に赴いた秀吉軍は、弾正をあっという間に取り囲んでしまう。
「頭を使え。」と秀吉は一豊に言い、信長が平蜘蛛の釜を欲しがっていたことを伝えるようにと、一豊を使いに出す。一豊は平蜘蛛の釜を献上する代わりに弾正を説得しようと試みるのだが、その話し合いは無駄に終わった。弾正との和睦を取り計らった一豊が帰るや否や、信長の命令で秀吉軍は弾正の城に総攻撃をかける。弾正は城ごと爆死した。
子供を手にかけてしまったことで一豊は悩む。吉兵衛は、「世は戦国、戦うは我らの定め、逃げ道はございません。」と一豊を力づける。我が家に戻り一豊は、千代と娘と三人で団欒の時を過ごす。
信長の命令で秀吉は中国へ、光秀は丹波へと赴くことに。柴田勝家とどうもうまくいかない秀吉に、「生きてること自体が辛い事だ。」ともらす光秀。濃姫に別れを告げに行く。濃姫は光秀にも天下人の資質があると言い、光秀の肩に散った落ち葉をすくって別れに答える。
中国での秀吉の戦いは、三木家の寝返りで困難を極める。六平太は、一豊に織田家を見限らせようとしていた。

レビュー
秀吉の窮地に半兵衛の最後の活躍が見られる回。ツボを抑えた千代の才覚が現れ、一豊に更なる癒しを与えている。また、切羽詰った秀吉の態度から、己に巣食う魔物を垣間見る回でもある。信長をしのぐ世紀の悪人と伝えられている弾正の平蜘蛛の釜の逸話が登場し、精神的な財が取引に使われていたことの当時の習慣もちょっとばかり伺われている。様々な欲望がひしめく人の世、なかなかうまくいかないのは当時も今も同じである。光秀に光を当てることが「人間の所業のせめてもの反芻」といった効果を生んでいる。


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2006年05月07日

大河ドラマ 功名が辻 第十七回 2006年4月30日放送 あらすじ&レビュー

第十七回 新しきいのち
血のつながった子供が出来た事で、法秀尼、きぬをはじめ千代の周りが賑やかになって来る。一豊は、男の子が生まれたら秀吉の一字をもらって秀豊と名付けると言う。千代は女の子が生まれた時は、よねという名前にしようと考えていた。































秀吉は、副田甚兵衛を旭姫の婿にしたく思っていたが、甚兵衛はなかなか承知しない。秀吉は「これは上意である。」と言い涙を流して甚兵衛を説き伏せる。「お前様の人たらしは見事でございます。」とねねは半分あきれ顔で、一番大切な旭の気持ちを慮るべきだと秀吉をしかる。
その頃竹中半兵衛は病気で臥せっていた。見舞いに来た秀吉に半兵衛は、上杉が北国に攻めて来ても、柴田には力添えしない様に忠告する。
千代にとうとう子供が生まれた。女の子だ。申し訳ございませんと謝る千代だが、法秀尼はいたわって褒める。女の子はよねと名付けられた。
秀吉の言いつけを守り旭と一緒になった甚兵衛だが、抜け殻の如き旭の態度に悩み果てて千代を頼ってくる。千代は旭の気持ちを受け止め、赤子の様な心にお戻り下さいと言う。母を目の前で斬られた千代の言葉に旭は心を動かされる。「この乱世に生きる者は誰でも辛いゆえに己を慰めて生きるのだ。」と言う千代に続いて甚兵衛は、「泣きたければ泣け、怒りたければ怒れ。怒ればきっと楽になる。」と言う。旭はぼろぼろと泣き出し、二人の様子を見て、千代はほっとする。
戦から帰り、ようやく一歳の我が娘と対面することができて喜ぶ一豊。だが、肝心のよねがなついてくれない。
ある日一豊と千代は、光秀の坂本城に呼びよせられ、大きくなった光秀の娘、玉(後の細川ガラシア)と会う。嬉しそうに我が子をながめる光秀と、ひとときの時間を過ごして来る。
信長は濃姫に、自分の地が天下のへそになると得意気に言い、謙信も自分にひれ伏すだろうと豪語する。濃姫は、いくら戦に勝っても傷の痛みが分からぬ者に民の心はついてこない、人の心をお忘れになってはなりませぬと信長に訴え、怒りを露にする信長に対し、これが子供を作れない自分のできることだと言い放つ。
柴田勝家は、謙信との戦に援軍を要請する。半兵衛から言われた通り、近江こそ決戦の場にするべきだと秀吉は信長に進言するが、信長は秀吉に北国出陣を命ずる。
北国に赴いた秀吉は、勝家と考えを戦わせた挙句、そりが合わずに帰って来てしまう。秀吉への信長の怒りを知った千代は慌てて半兵衛を訪ねる。

レビュー
よねの誕生に人々の思いが重なり、旭姫の嫁入りなど人情の機微に溢れた回だ。登場人物の爽やかさも手伝い、時代の息遣いが聞こえている。戦乱の中、あやまち、まちがいを後生大事に箱の中にしまってしまう人間のつれなさに新しいいのちが対比され、すべての歯車に油を差すべしという大石氏の思想が感じられる。



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2006年04月30日

大河ドラマ 功名が辻 第十六回 2006年4月23日放送 あらすじ&レビュー

第十六回 長篠の悲劇
天正三年(1575年)5月、信長軍は長浜を出陣する。出陣する一豊に向かって、「お命は必ずお持ち帰り下さいませ。」と念を押す千代に一豊は、「命を無事に持ち帰ることが出来たら此度の戦は我が生涯の節所となろう。」と言う。「御武運信じております・・・」千代は一豊を見送る。
戦場では丸三日雨が続いていた。「いつご出陣を?」と尋ねる秀吉に信長は「雨に聞けい。」と言う。





























秀吉の元で腕を振るっていた源助に長篠の柵を作る命が下る。千代、なか、旭は反対するが、ねねは秀吉を庇い、源助は自分の腕が何かの役に立つならと、作事仕事に意欲を見せる。千代も出向くといい出すが一豊は制止する。源助は旭を説得して戦場に赴く決意を固める。後日ねねは千代を呼び、「四百石の武将の妻として誰の気持ちを第一に慮るべきか考えよ。」と、叱責する。
源助の的確な指示で、柵は半日で作り上げられた。鉄砲を使うという信長の作戦に気付いた一豊は六平太に、「殿もやっと頭に血が巡って参りましたな。」と言われる。源助は一豊の従者に従われて戦場を離れる。
長篠の戦いは信長の勝利に終わる。だが一方で、山内家には六平太が源助の死のしらせをもって帰ってくる。源助は自分の作った柵を見ようとして流れ矢に当たってしまったのだった。
信長の軍隊が帰ってくる頃、千代に子供ができた事を知った小りんは長浜に飽きたと言い、姿を消す。一豊は源助を死なせてしまった我が身を恥じ旭の前で自害しようとするが、秀吉が現れ旭にひれ伏し、一豊と千代を帰す。
旭は千代に会いたいと、山内家を訪れる。千代は「タゴサク」という雀の真似をして旭を笑わせ、旭の心を慰めようとする。
秀吉の気持ちで、旭には副田甚兵衛という男に嫁ぐ話が。気が乗らない旭を案ずる千代。そこへ義父市乃丞の重篤のしらせが入る。千代から子供が出来たと知らされた市乃丞は、「冥土の土産が出来た」と喜び、翌日息を引き取る。稲葉山落城を生き延びて八年後のことだった。

レビュー
千代の朋友になっていたかもしれない旭姫の悲劇。長篠に新しい時代の幕開けを轟かせたいくさだったが、無駄に一つの命が無くなった事をいかに周囲が受け止めるかという、各々に苦い教訓を与える回である。旭姫の手を取って泣きじゃくるかと思えば新しい側女を探したりと、アンバランスな態度の秀吉。この物語の中ではどこか心がイッてしまっている男として描かれており、それだけにねねの役割が重くなっている。それでも、たとえチンケと言われようが夫婦は一つ。不思議な表裏で繋がっているのである。
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2006年04月21日

大河ドラマ 功名が辻 第十五回 2006年4月16日放送 あらすじ&レビュー

第十五回 妻対女
山内家では、一豊の右腕である知恵者、祖父江新右衛門が隠居して新一郎に家督を譲り、徳治郎は医者になるために京に行くこととなる。一人で酒を飲む吉兵衛に紫陽花を見せようと気を回した千代だが、吉兵衛は亀ヶ崎の戦いで一豊の頬から引き抜いた鏃を出し、ご当家の家宝、それがしの誇りだと一説ぶつ。一豊を守る事、それ以外にこの世に望みはないと言う吉兵衛に千代は胸を熱くする。



































六平太は望月六平太と言う名で山内家に近づき、家臣になろうとする。得意の忍術で一豊を守ると言う六平太だが、一豊は毛利の間者だと信じようとしない。六平太は、自分は真っ正直な一豊に惚れたと言い、山内家に居座ってしまう。
いとととしには子ができた。山芋を食べれば子が出来ると聞いた千代は、早速トライしてみるのだが。六平太は千代に、叡山の虐殺で変わってしまった信長は滅ぶ、その時死を賭して戦う一豊の危機に、自分が盾になって守ると言う。しかし千代も不安な気持ちでいた。
市乃丞の具合が悪いということで一豊と千代は、千代の実家に見舞いに行く。市乃丞は千代に、世継ぎが出来なければ一豊に側女を置けと言う。きぬは、市乃丞こそ子供ができなかったのに側女を作らなかった、間に受ける事はないと言い、一豊も、自分にとって女子は千代だけだと即座に答える。
六平太の妻としてやって来たさとと名乗る女はなんと小りんだった。小りんは一豊の子を産もうと夜這いをかけるが、一豊は逃げ出してしまう。小りんに子供の事を尋ねられた千代は正直に話す。すると小りんは一豊の子を産むと言い、怒れない千代は涙を浮かべて黙り込んでしまう。
夜、小りんは隙をついて一豊に夜這いをかけるが、一豊は振り払う。「千代に子供はできないよ。」と辛辣に言う小りん。すべて悟っていた千代は寝床に帰った一豊に、「旦那様は誰にも渡しませぬ。小りんには渡しませぬ。」と泣く。一豊は、「側女はいらぬ、わしにとって女子は千代だけじゃ。」ともう一度千代を抱きしめて言う。その時、長篠の戦いを告げる陣笛が鳴った。

レビュー
戦いの合間のまどろみ、そしてその都度煩雑なものに囲まれつつも、有機的な家族・家臣同士のつながりについて描かれている。ふっとした心のたまり場のような回だが、この話のテーマとしての夫婦愛が貫かれており、内面的時代劇の情緒がいかんなく発揮されている。ドラマ新クールに入って、作り手側からはさらなる深化をはかる試みがなされており、それぞれのキャラクターが言葉を研ぎ澄ませながら新しい人間の生き方を探している、といった回である。ああ、あんなつらい顔ができるんだ・・・千代のリゴラスさの反面が格段の光を放ち、主役抜擢の見立てはきっと正しかった、そんな風に思える回だった。


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posted by 綾悦 at 13:14| Comment(0) | TrackBack(1) | 2006年第2期ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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